支援のスキマをつなぐ「ガクプロ」とは?
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●プロフィール
山﨑智(やまざき とも)
2017年9月にKaien入社。主に小学生から高校生までが対象の放課後等デイサービス ティーンズで勤務。2025年1月からガクプロ運営担当を兼任。

●大学生や専門学校の学生が参加
−− ガクプロに参加するための基準はありますか?
山﨑智氏(以下、山﨑):大学生や専門学校に通っている方のサービスですが、卒業した方も利用されています。ただし、ほとんど利用中の方は現役の学生さんといった感じですね。障害者手帳も医師の診断も必要ありません。首都圏、関西を中心にいくつか拠点があり、通える範囲の拠点であればどこにでも参加することができます。同じ事業所に通う場合も、月の前半と後半でプログラムが変わります。月に1回〜2回の参加が多いですね。
−− なぜガクプロが始まったのでしょうか?
山﨑:高校生まで、そして働き始めてからは公的な福祉があるのですが、働く直前の大学生・専門学校生の時期には、公的な福祉があまり整っていないからです。そこで我々民間で、その間をつないで切れ目のない支援をしていこうとしています。
−− 皆さん、どのような悩みを持ってガクプロに来るのでしょうか?
山﨑:親御さんの悩みとして多いのは、就職・自立への不安です。ガクプロに通い、就職に向けて緩やかに準備を進めていく内容が安心につながっているのだと思います。学校生活の悩みや人間関係の悩みも少なくはありません。
−− 発達障害でいうと、どのような診断を受けている人が多いのでしょうか?
山﨑:発達障害やグレーゾーンの方が多く来られているのだと思います。就活に向けての一般的な準備がほどほどできる学生でも、大なり小なり発達の特性があることで何かしらのトラブルや不安を抱えていたりします。安心感や居場所を求めて通う学生も多いです。親御さんがガクプロを見つけて、ということがほとんどです。
●ガクプロで何を学ぶのか?
−− どんなことが学べるのですか?
山﨑:前半はキャリアプランニング講座を行い、後半は実務を行なっています。実際に業務を行い、自分はどんなことができるのか、どんなところが難しいのか、言われた通りの作業はできたか、作業のスピードはどうか、考えはまとめられたか、AIを利用したかなどを振り返ります。自分がある業務をするとなったとき、どういうところで苦手が出ているのかを知ることができますし、それを共有することで、別の方法を学んだり、自分を客観視したりすることもできるようになります。自分の現在の立ち位置を確認する感じです。
−− ガクプロで目指しているのは障害者雇用なのでしょうか? それとも一般的な就労ですか?