「算数障害」のある娘。基礎の積み重ねで、大きく成長(前編)

算数障害のある娘とどのように関わってきたか。小学校低学年から高学年の変化と成長をお聞きしました。東京都在住で、5年生の娘さんを育てるお母さんへのインタビューです。
黒坂真由子 2026.03.04
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●低学年の頃と比べ、大きく成長

−− 低学年の頃と比べて、変化はありますか?

 指を使って計算するところは変わりませんが、計算はすらすらできるようになりました。九九も完璧になっています。低学年のときと比べて変わったことといえば、勉強する時間が減ったことかもしれません。ゲームにはまっている、ということもありますが、本人が自信をつけた面があると思います。

 娘には算数障害(「限局性学習症(学習障害)」の一つである算数の困難。以下「算数障害」)があるので、低学年の頃の勉強は大変でした。

―― 娘さんの算数障害は、どのあたりに困難があるのでしょうか。

 まず数字を把握することに困難があります。例えば、数字の「3」。「サン」と読みますが、量や数は「3つ分」。この記号としての「3」と、「サン」という音と、「3の意味」が頭の中でつながっていません。

―― そうなると、数を数えたり、計算をすることは難しいですよね。

 そうなんです。24という数字は「2」と「4」でできているのではなく、「20」と「4」でできていると理解することにも、苦労していました。ですから、

10+30=1030

などとしていました。「1ずつ増える、減る」なども苦手でした。

 九九は自分なりに工夫しながら覚えました。音韻の問題、読み書きの問題は掛け算にも現れます。上の子がいるので、九九の暗唱は保育園の頃からできていたのですが、いきなり「3×3」と言われると、答えがでないのです。

−− 「3×1」から始めないといけないということですね。

 そうなります。また、数字は読み方が変わることがありますよね。例えば、「3(サン)」は、九九では「3(サ)×3(ザン)=9(ク)」などとなります。「サン」「サ」「ザン」など、同じ「3」なのに読み方が違います。

−− 確かにそうですね。

「7×7=49(シチシチ シジュウク)」は4(シ)と7(シチ)の音が似ていて、混同していました。読み方の工夫や視覚化で、今はできるようになったのですが、苦労していました。数の概念、繰り上がり繰り下がり、小数などは、手順などを暗記することで乗り切りました。例えば、小数の「0.75=4分の3」などは、理解したというより、暗記でカバーして計算しています。

−− 基礎的な部分でとても苦労されたのですね。

 ただ、高学年になればなるほど、小学校1、2、3年生の勉強の上に積み上げる内容になります。苦労して基礎を固めたために、現在はそこまでつまずかなくなりました。最近、認知が追いついたように感じます。

 先日、「『8+7』は、『 5 と 3』 と『 5 と 2』で分けられる?」と聞いてきたので、「分けられるよ」と言ったら、「うん、なんかわかる気がする」と言っていました。「8+7=15」とただ暗記して覚えていた計算を、頭の中で「5 と 3」 と 「5 と 2」に分解して計算できるようになったのかもしれません。独自のやり方をしている可能性はありそうです。

−− 自分で工夫しながら、計算できるようになってきたということですね。

 最近ちょっと困ったなと思ったのは、最大公約数と最小公倍数の問題です。すごく簡単な問題も、手順を踏んで計算で出しています。例えば4と10の最大公約数は「2」だとパッと思いつきますよね。それが思いつかないので、10 の公約数を最初から書くのです。「4の約数:1, 2, 4」「10 の約数:1, 2, 5, 10」。一番大きいのは「2」とする感じです。ですから、すごく時間がかかってしまうのです。

−− 答えは合っているけど、全て手続きを踏むから時間がかかってしまう。

「パッと思いつかない?」と聞いたら、「思いつかない」と言っていたので、やはり数字の概念的な部分が追いついていないのかもしれません。

 計算はシステムとして頭に入れているのでできるのですが、「2分の1と3分の1、どっちが大きい?」と聞かれたら多分困ると思います。

●読み書きの困難

 漢字に意味があることを理解するのが苦手で、低学年の頃はやはり苦労していました。「新」と「親」など形が似てる上に、読み方が同じ漢字はよく間違えてしまいます。また、「鳥」「数」「曜」など、形が難しい文字も覚えるのが大変です。低学年の頃から、漢字は「文字・読み方・意味」の3点セットで覚えられるように工夫し、意味はなるべく画像などイメージとセットで見せるようにしていました。

 ただ、イメージで覚えると、それが間違いにつながることがあります。「野原」の「野」と「原」などがそうです。「野原」も「原っぱ」も、イメージが同じなので混同してしまうようです。「明るい」を「楽しい」と音読してしまったり。これもイメージからくるものだと思います。

 現在も、言語聴覚士の先生に来てもらい、同じ音の漢字を勉強しています。

―― なるほど。イメージが間違い方につながっているのですね。ひらがな、カタカナはどうですか?

 ひらがなは「きゃきゅきょ」などの拗音や、小さな「っ」などの促音が苦手でした。ただ、カタカナの方が、苦労が多かったです。直線の組み合わせが多くて、かえって難しかったのかもしれません。

 ただ、字を書くのが嫌いなわけではないのです。本人が「習字教室に通いたい」と言い、最近習字を習い始めました。読み書き障害のことがあるので、文字をちゃんと認識できるかすごく心配していたのですが、全く問題ありませんでした。ちゃんと書いているんですよ。

−− 書くこと自体は、嫌いじゃないんですね。

 読み書き障害はあるけれど、文字が書けないわけじゃないんです。うちの子の場合、苦手が算数の方に寄っているのかもしれません。先日、漢字検定も受けたくらいなので、書くことにそこまでストレスはないようです。

●中学受験に対して

−− 中学受験を考えていますか?

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