現場の先生に聞く! 特別支援教育について教えてください(前編)
サポートメンバーの登録により、発達障害についての継続的な発信が可能になります。メンバーとしてのご登録をお願いいたします。メンバーシップは、無料、有料から選べます。概要について、詳しくはこちらをご覧ください。
*お知らせ:2026年からタイトルを「黒坂真由子の発達障害レポート」に変更しました。今後ともよろしくお願いいたします!
*特別支援教育の運用に関しては、お住まいの地域により違いがあります。特別支援教育を受ける際には、地域の状況の確認が必要です。
●特別支援学級の担任
−− ご経歴を教えていただけますか?
先生:現在、通級指導教室(通級による指導、「通級」)の担当をしています。働き始めた頃は、通常学級の担任をしていました。学校に「ことばの教室(言語障害通級指導教室)」があり、そこにクラスの子どもが通っていたのがきっかけで特別支援教育と関わるようになりました。ですから最初の接点は、担任としてのものでした。
−− 「ことばの教室」では、言葉の理解や表現、発音などの指導が行われているんですよね。
先生:そうですね。ことばに特化した指導を、通常学級に所属しながら週に数コマ行っています。「通級」のひとつです。
2校目で働いていたときに、「特殊教育」から「特別支援教育」に制度が変わりました(*)。その時、特別支援教育のコーディネーターになるように言われて、特別支援学級(「支援学級」)の担任になりました。そこから10年近く、「支援学級」で担任をして、3校目で「通級」の担当となりました。
−−「支援学級」では、軽度の障害がある児童や生徒に合わせた指導が行われますが、1人の先生につき8名までの少人数制でしたよね。地域や学校により運用には違いがあり、一つの学級として機能することもあれば、通常学級と行ったり来たりすることもあります。
ところで、「支援学級」の先生になるには、免許や資格はいるのでしょうか?
先生:通常学級のクラス担任ができる先生は、「支援学級」の担任になることができます。若い先生になると、大学で特別支援教育のことを学んできます。ただ、資格を持っているかどうかは、人それぞれです。
特別支援学校で教えるための基礎的な資格である特別支援学校教諭の二種免許は、通信教育や放送大学でも取得できます。「支援学級」の先生の中にも二種免許を持っている先生がおられます。
−− そうなるとイメージとしては、学級担任の資格の中に含まれている感じですか?
先生:そうなります。担任の先生の中に、図工を専科とする先生もいれば、特別支援教育を専門にする先生もいるという感じです。
「通級」の担当は、大学で専門的に学んだ先生が担当している場合も多く、私もそのために1年間大学で学び、特別支援学校教諭一種免許状を取得しました。ただ、ここ2〜3年で「通級」を希望する児童が増えて、先生の数が追いつかなくなってきています。ですから専門的に学んでいない先生が担当することも増えてきました。
−− 先生の数が足りていないのですね。
最近は、新しく採用された先生は10年目までに、「特別支援学級で、複数年経験を積みましょう」という流れになっています。これまではなんとなく「管理職になるために『支援学級』を持つ」といったこともあったのですが、今ではどの先生も「支援学級」を経験しましょうという流れになってきています。
*)特殊教育:かつて日本で使われていた、障害のある子どもへの教育を指す用語。2007年の学校教育法改正により、「特別支援教育」という概念に置き換えられた。
●特別支援学校、特別支援学級、通級指導教室
−− 特別支援教育には、どのような種類があるのでしょうか?
先生:まず学校として独立している「特別支援学校」があります。視覚障害・聴覚障害・知的発達症(知的障害)・肢体不自由・病弱など、対象が決まっています。遠方からバスで通う子どもも多いです。
「支援学級」は、小学校、中学校などに設置された、軽度の障害がある児童・生徒のための少人数の学級です。都道府県によって運用はかなり違っていて、全校に設置されている地域もありますが、そうではない地域もあります。発達障害をもつ生徒だと、「支援学級」に所属する場合もありますね。
−− 東京では、全校に「支援学級」があるわけではないので、学区を超えて通っている子もいます。
先生:ただ発達障害の子どもが利用する特別支援教育で一番多いのは、「通級指導教室(「通級」)」です。障害に応じた指導を、通常学級に在籍しながら受けるものです。「ことばの教室」「まなびの教室」など、名称が自治体によって違うため、ちょっとわかりにくいかもしれません。週に数コマ、個別または小集団で指導を受けます。
−− 通常学級に所属しながら、数コマ特別な指導を受ける形ですね。先生は「ことばの教室」で教えられているのですよね。
先生:これも「通級」の一つです。通常級に在籍しながら、週に何コマか、言葉の指導をしています。限局性学習症(学習障害)のお子さんも来ますが、吃音などのお子さんも来られます。
●特別支援学級と通常学級の学びの違い
−− 先生は特別支援教育の先生を長くされていますが、その理由があれば教えてください。
先生:特別支援教育にずっと携わっているのは、タイミングが重なったからだと思います。もちろん楽しかった、というのもあるのですが。きっかけは産休・育休明けで入った学校で、特別支援教育コーディネーターの先生が転勤になったことです。「新しく来た先生は、これから10年くらいこの学校にいるだろう」という読みが、管理職側にあったのだと思います。それで「特別支援教育コーディネーターやってくれない?」と言われて、その流れで「支援学級」の担任になりました。
−− 「支援学級」と通常学級の担任を両方されてきたわけですが、大きな違いはどこにありますか?
先生:通常学級の担任は、学習指導要領を全て網羅しながら教科書に沿ってやっていかなければなりません。成績的には学級の中間くらいにいる子ども達に合わせながら、バーっと進んでいきます。本当はもっと、きめ細かく一人ひとりに合った学習をしたいと思いながらも、なかなかできません。
「支援学級」では、一人ひとりに沿った内容で、子どものペースで進度が調整できるので、その子が本当に「わかった!」と喜んでくれたり、成長してくれるのは、すごく嬉しいです。それが一番大きな違いですね。通常学級は一斉指導、「支援学級」は個別指導(もしくは少人数指導)ですから。
−− 一斉指導と個別指導というのが、大きな差なんですね。
先生:あとは一人の先生がその児童をみているので、きめ細かな指導ができる点ですね。
−− 確かに中学校だと教科ごとに先生が違いますし、最近は小学校でも専科の先生が増えていますよね。そうなると、何が苦手なことがある生徒にとって、それを把握している先生が全科目を教えてくれることはメリットが大きいと思います。
先生:あと、「支援学級」の児童は、通常学級である交流学級でみんなと一緒に学ぶこともあるので、結果的に2人の先生が、その児童に関わることになるんですね。それもすごいメリットだと感じています。あと、国語や算数は少人数の方がきめ細かくみることができます。
−− 通常学級においても、算数は習熟度別にしている学校がありますよね。
先生:学校によりますね。うちの学校では少人数制にして、先生2人でみています。算数専科の先生が授業をして、学級担任が子どものところを回って教えています。担任の先生がフォローしながら進めていく形です。
このように一斉指導の中でも、配慮しながら進めるという流れにはなっていますが、やはり1人の先生につき児童は8人まで、という「支援学級」のメリットは大きいと思います。
●夏休みに就学相談
−−特別支援教育を受けるかどうか、どのように決めるのでしょうか?